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<<   作成日時 : 2012/02/11 15:36   >>

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 日が暮れると、森のなかにあるこのお城の外気はずいぶんと涼しくなる。

「奥様、窓を閉めますね」

 奥様に断ってから私はテラスへと続く大きな窓を閉めた。テラスからは中庭へと下りることができる。

「明日はお庭へと出てみましょうか? お花が綺麗ですよ」

 そう奥様に微笑んでみても、微笑みが返されることはない。

「そろそろお食事の時間ですね」

 セバスチャンさんが迎えに来る頃かしら? と思っていると、扉がノックされ、「失礼します」とセバスチャンさんが入ってきた。

「奥様、お食事の時間です」

 車椅子を押してレースの波を抜けてきたセバスチャンさんが奥様に深く頭を下げ、「失礼します」と言うと、奥様を横抱きに抱えて車椅子へと移した。

「奥様のお食事の準備は私がいたしますので、最上様はお部屋に用意してある服に着替えてダイニングへ行ってください」

 奥様のお食事というのは点滴のことだろう。その準備となると、点滴をつけることだろうから私に出来ることではないけれど、着替えてダイニングへと向かう理由もわからず、私は首を傾げた。

 しかし、すぐにその行動にあてはまる答えを見つけて納得する。

「おじ様のお食事の準備のお手伝いですね」

 着替えはきっと、メイド服からシェフ(見習い)の格好になれということだろうと思ったのだけれど、セバスチャンさんから「違います」と否定された。

「最上様はダイニングで旦那様とお食事をしてください」

「……メイドの私がおじ様とお食事?」

 奥様の車椅子を押して廊下へと出たセバスチャンさんは苦笑して私を見た。

「メイドの制服に着替えさせられ、メイドのようなお仕事をさせられてはいますが、最上様は旦那様が招かれた賓客でございます。それも、とても特別な」

「……」

「ですから、お仕事の時以外はごゆっくりなさってください」

「……いいんでしょうか?」

「え?」

「私、おじ様のお手伝いをするつもりで来たのに、そんな特別な待遇をしていただいても……」

「……最上様のそうしたご人格を、旦那様は信用し、頼りにしておられるのです」

「頼りに?」

「はい。奥様のことを任せてもいいと思われ、さらには……こんなことは私が言うべきことではありませんが、きっと、旦那様はご自分の心も貴女様に癒していただきたいと思っているのだと思います」

「おじ様の心?」

「はい」と頷いたセバスチャンさんは周囲に配慮するように声を小さくした。

「……実は、旦那様と旦那様のご子息はもう何年もお食事をご一緒にはしておられないのです」

「どうしてですか?」

「それは私の口からは言えませんが……どうか、旦那様にも奥様同様、優しく接してあげください」

 奥様の病の謎。そして、おじ様とご子息の間にある確執の謎……このお城のなかには、その華やかな美しさとは対照的に、誰もが口を重くする秘密が詰まっているようだった。






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