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zoom RSS 新☆LME学園 03

<<   作成日時 : 2012/01/12 12:19   >>

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 俺から逃げるように、栗色の髪の小柄な彼女は友人の後を追って駈けていった。彼女の姿が校舎を囲む木々に阻まれて見えなくなるまでその背中を見つめていた俺が、改めて体育館へと向かうためにそちらへと向き直ると、他のSBのメンバーが驚いたような表情で俺を眺めていた。

「蓮。お前、キョーコちゃんと知り合いだったのか?」

 俺としては、社さんと石橋くんが彼女と親しそうに話していたことの方が驚きだが、とりあえず社さんの質問に首を横に振って答えた。

「いいえ」

「いいえって、知り合いだから珍しくお前から声をかけたんだろう?」

「いまので会ったのは二回目です。それって“知り合い”ですか?」

「二回目!?」と、貴島くんが素っ頓狂な声を上げた。

「ってことは、たった一度会っただけで敦賀くんに覚えられてたの? あの子?」

 貴島くんの感心した声につられて、石橋くんが「すごい!」と感嘆の声を上げる。

「皆、なんでそんなにあの子に感心してるんですか?」

 そう聞くと、村雨くんが「だって」と当然のことのように言う。

「敦賀くんって他人に一切興味を示さないじゃん?」

 珍しいものを見るような目でまじまじと俺を眺めるSBのメンバーの視線から逃げるように、俺は体育館へと向かって歩き出した。

 村雨くんの言うとおり、他人にあまり興味を持たない俺が彼女に興味を持った。その理由は一年前のあの日、この学園の門の前で偶然に彼女に出会った俺は……とても、彼女に腹が立ったのだ。



 本当に純粋で綺麗な眼差しで門からこの学園を見つめていたあの子に、俺は俺の奥深くに隠している黒い渦が蠢くのを感じた。

『この学園に入りたいの?』

 俺の声に振り向いた少女は奥ゆかしく微笑んで、『はい』と頷いた。

『ここは、檻だよ?』

 そう教えてあげると、少女は不思議そうに俺を見つめ返す。

『檻……ですか?』

『そう。檻だよ。大人たちが子供たちを都合よく調教するために作った檻だ』

 少女は眉尻を下げて不安そうに俺を見つめる。その不安は、学園に対してのものではなく、明らかに、俺に対しての不安。

『君も、大人たちに騙されているんだね?』

『違います』

 やけにはっきりと答えて、少女は俺に真っ直ぐな眼差しを向ける。

『私は、おじ様を信じます』

 彼女の言葉に、自ずと俺の表情は険しいものになる。

『そのおじ様って……クー・ヒズリのこと?』

『はい』


 俺にとっては重い鎖のようなこの学園の学園長を信じ切っている少女の強い眼差しが俺をますます腹立たせ、同時に、苛立ちとは違う何かかが胸のなかに生まれた気がした。


『君、名前は?』

 その何かがなんなのかはわからない。

『最上キョーコです』

 なんなのかはわからないまま俺は、まるで挑むような眼差しを向ける彼女の名前を、胸に刻んだ。






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