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zoom RSS 新☆LME学園 09

<<   作成日時 : 2012/01/18 16:12   >>

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 タイミングの悪いことにちょうど通りかかったらしい蓮が入口に立って冷たい眼差しをこちらへと向けている。

「自分を卑下する方法でしか自己アピールができないのか、もしくは、自己愛を示せないのか。どちらにしろ、自分はやれると信じている人間でなければ俺は認可することはできないから、いまのうちに辞退してほしい。任命式があってからでは面倒だからね」

 冷たい蓮の眼差しを正面から受け止めるキョーコちゃんの表情も当然、厳しいものになる。キョーコちゃんのそんな表情など見たことなかった俺は驚いた。

「そうですね」とキョーコちゃんはどこから出してるんだっていうほど、今まで一度も聞いたことのない低い声で言った。

「社先輩、そのように手配をお願いいたします」


 くるりと俺に向き直ったキョーコちゃんはにこりと鮮やかな笑顔を作り上げる。その笑顔のまま研究室にいた他の院生を見回して、深く頭を下げた。

「先輩方、ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ありませんでした」

 そして、「それでは」と蓮の脇を通って立ち去ろうとするキョーコちゃんを俺は追いかける。

「ちょ、ちょっと! 待って! キョーコちゃ……」

 キョーコちゃんの名前を呼ぼうとした俺の声を、蓮が遮った。


「随分簡単に、責任を放りだすんだな?」


 無責任なのはお前の方だと言ってやりたかったが、とりあえずはキョーコちゃんが足を止めてくれたことにホッとする。

「君は、社さんの頼みを承諾したんだろう?」

 蓮は先ほどよりもなお冷たい眼差しを向ける。

「どうして、あの日みたいに食い下がらない?」

 そんなことを言う蓮の声には、ピリピリと苛立ちが漂っている。その苛立ちが正当なものでないことは明確で……俺には、蓮の声が拗ねた子供のもののようにも感じられた。


「彼以外のことは信じないのか?」


 キョーコちゃんは立ち止ったまま振り返ることもせずじっと聞いている。俺には誰のことを言っているのかわからない“彼”という単語も、きっとキョーコちゃんにはわかっているのだろう。


 反論をしないキョーコちゃんの背中を見つめていた蓮は、聞えよがしにため息をつき、ブレザーの内ポケットへと手を差し入れた。

「君からこちらに出向いてくれて手間が省けたよ。彼から君へ渡すように頼まれていたものがある」

 その言葉にやっと反応を返して、キョーコちゃんは蓮へと振り返った。内ポケットから封書を取り出した蓮は、それをキョーコちゃんへと渡した。


 糊付けをされていない封をキョーコちゃんはその場で開き、なかの手紙に目を通す。そして、その場を立ち去ろうとしていた蓮の背中に真っ直ぐに視線を向けた。


「会長!」


 キョーコちゃんの呼びかけに、蓮は足を止める。しかし、先ほどのキョーコちゃん同様、振り返ることはない。
その背中に、キョーコちゃんははっきりと言った。


「私、生徒会長の任……辞退はしません」


 キョーコちゃんの言葉に、俺はホッと胸を撫で下ろした。蓮はなんの反応も返さず、再び歩きはじめた。その表情を、揺らぐことのないいつもの背中からは読み取ることはできない。





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