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zoom RSS 新☆LME学園  番外編 02

<<   作成日時 : 2014/05/24 17:45   >>

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 『SB 〜Skip Bird〜』


 夏休みが終わり、再び学校で最上さんに会うようになってから一週間と一日……夕方、例の執事の車に乗る最上さんを目撃して、俺は慌てて家へテレビ電話をかけた。

「学園長! なにやってるんですか!?」

『反抗期の息子は手がかかりそうだから、お前は帰って来なくていいぞ』

 画面に映し出された彼は、せわしなく動いていた。女の子らしい部屋の作りから、そこが最上さんが使っていた部屋だということがわかる。

 画面には、車椅子に乗って、父さんと執事、メイドに指示を出す母さんの姿も映されている。

「なに言ってるんですか!? 最上さんだって困ってるでしょ?」

『社くんから、夏休みの間、キョーコに会えなかった男共が女子寮に忍びこもうとする事件が多発していると聞いた』

「え……」

 そんな話、俺は聞いていない。

『お前に言ったら、彼らの命はないだろうと言っていた』

 そういうことか……。

『キョーコがうちにいれば、女子寮に男たちが忍びこむこともなくなって問題も解決するだろう』

「……」

『キョーコにはあいつを傍に置くから、警護もばっちりだしな』

 そういって、学園長は執事を示す。

「俺も帰ります」

 執事だって、油断はできない。彼が最上さんを好意的に思っていることは確かなのだ。

『お前の反抗期はもういいのか?』

「あなたへの反抗心などもうどうでもいいものになりました」

 いまの俺にとっては、父親という壁を壊すことよりも、愛しい人の傍にいることのほうが大事なのだ。

『そうか。それはよかった』

「それじゃ」と電話を切ろうとした俺に、学園長は『そういえば』と話を続けた。

『社くんから聞いたんだが』

「今からそっちに帰りますから、話はそれからでいいでしょう?」

 一刻も早く最上さんのところへ行きたいのだから、邪魔をしないでほしい。

『いや、キョーコがいるのに、お前が俺の相手をしてくれるとは思えない』

「………なんですか?」

『お前は、SB……Skip Birdの意味を、“飛べない鳥”だと思っているそうだな』

「スキップする鳥なんて、飛べないって意味以外にないでしょう?」

 俺たちを鎖でつないでおきたい大人たちの考えそうな名前だ。

『そんな名前を愛する子供たちにつけるわけないだろう?』

 いったい、どんな言い訳をしようというのだろうか?

『スキップする鳥……“幸せな鳥”だよ』

「……なんですか? それ……」

 そんな名前……まるで、本当に、“愛されている”みたいじゃないか?

 クオンの代わりに残ってしまった俺でさえも……。

『想像してみろ……もし、愛する人に愛されたら……どんな空だって自由に飛べるお前たちだって、スキップしたくなるだろう?』

 俺たちがどんな空だって飛べるというのは、この人の過大評価だとしても。

「……」

 もし、最上さんに愛されたら……。

「確かに」

 跳ねまわることを止められないかもしれない。


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