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zoom RSS 新☆LME学園 073

<<   作成日時 : 2014/01/12 13:13   >>

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 マリアちゃんと一緒にお菓子を作っていると、数人の子供たちが台所へと入ってきた。マリアちゃんに小声で何かを耳打ちしたかと思うと、マリアちゃんは急にケーキを作るのをやめて私を台所から連れ出した。

 そして、ここ……馴染み深い森のなかへと私を案内した。

 セバスチャンさんがまだこの園にいるころに木の枝を利用して作ったブランコに私を座らせると、マリアちゃんは重大な秘密を教えてくれた。

「あのね、お姉さま……もうすぐ、十年に一度の特別な時が訪れるの」

「特別な……時?」

 ゆっくりと深く頷いたマリアちゃんは、さらに声をひそめて言った。

「妖精界への扉が開くの」

 私はマリアちゃんが教えてくれた秘密に驚き、一瞬呼吸を忘れ、それから徐々に気持ちが高まってくるのが自分でもわかった。

「それじゃ、皆も呼んで来なくちゃ!」と立ち上がった私を、マリアちゃんは再びブランコに座らせた。

「妖精たちはね、人間の子供が苦手なの。私たちが一緒にいたら、妖精たちは扉を開かないかもしれないわ。だから、お姉さまはここで一人で待っていて」

「でも、せっかくだから、皆と一緒に妖精さんに会いたいわ」

「お姉さまが妖精と会えたら、私たちもそのお話を聞けるでしょう? そのほうが、私たちも嬉しいの」

 そう笑うマリアちゃんを、私は感動のあまり強く抱きしめた。

 マリアちゃんも一度私をぎゅっと抱きしめると、私の腕からすり抜けて、「それじゃ、お姉さま、また迎えに来るわ!」とその場を立ち去った。

「なんていい子たちなの」

 私は森のなかで妖精界の扉が開くその時を待ちながら、子供たちの優しさをひしひしと感じていた。

 もちろん、森のなかで待っていれば確実に妖精界への扉が開くのを見ることができるわけではないし、妖精に会えるわけでもないことはわかっている。

 運がよければ……ということなのだが……

「神様、仏様、妖精様、お願いします! 子供たちに妖精さんのことを聞かせてあげたいので、ぜひぜひ、妖精さんと会わせてください!!」

 ブランコをすこしだけ揺らし、森の風の柔らかさを肌に感じながらその特別な瞬間が訪れるのを待っていると、カサカサっと枝の揺れる音がした。

 期待に胸を膨らませ、枝の揺れた辺りを見つめていると、ここにいるはずもない人が姿を現した。

「最上さん!」

「……敦賀さん?」

「どうしてここに?」と小さく呟いた私の言葉は敦賀さんには届かなかったのか、私に駈け寄ってきた彼はブランコに座る私の体をすっぽりと包み込むようにして抱きしめた。

「どうして、勝手に帰ったりしたの?」

 敦賀さんの行動に驚きながらも、私はなんとか質問に答える。

「……もう、私の役目は終わりましたので、長居していては迷惑かと……」

「君の役目?」

 耳にあたる敦賀さんの息が私の頬を徐々に熱くしていく。

「おじ様には、奥様のお世話をするようにと……」

「母さんが目覚めたから帰ったの?」

 密着していた体をすこし離して、敦賀さんは私の顔を覗いた。近すぎる眼差しに、私は目を逸らして答える。

「それもありますけど……奥様に対する敦賀さんの誤解は解けましたから、私がいては親子の団らんのお邪魔になるかと思ったんです」

「君が邪魔になることなんてあるわけないだろう?」

 当然のようにそう言ってくれる言葉が嬉しくて、私はそっと横目で敦賀さんの表情を確認する。

「……本当ですか?」

「ああ」

 敦賀さんは苦笑しながらも優しい眼差しで頷く。

「一緒に帰ってくれるね?」

 優しい眼差しに惹かれて思わず頷きそうになったけれど、私は子供たちとの約束を思い出して、「ごめんなさい」と答えた。



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