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<<   作成日時 : 2013/09/28 21:38   >>

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またまた久々の更新となりました(><;
お楽しみいただければ幸いです♪

ちなみに、無事に愛知での新しい生活をスタートいたしました☆


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 クオンが死んだのは、俺たちが十歳の頃だった。

 十年間の秘密を告白した俺を最上さんは抱き締め、一緒に泣いてくれた。

 父さんや他の大人たちのように「お前が悪い訳じゃない」、「あれは事故だったんだ」と嘘をつくこともなく。

 俺が起こした悲劇を一緒に泣いてくれた。

 一時間も二時間もそうして泣いた頃、最上さんは「敦賀さん」と小さな声で俺を呼んだ。

 俺は「うん」と応える。しかし、彼女はすぐには口を開かない。俺の心が落ち着くのを待っているのか、自分の覚悟が決まるのを待っているのか……しばしの沈黙が流れる。

 彼女が何を言わんとしているのかわかっていた俺は、ただ黙って沈黙が破られるのを待つ。

 しばらく待つと、「一緒に」と最上さんの覚悟が伺える強い声が聞こえた。

「一緒に、奥様のところに行ってください」

 それはまるで、天から罰を言い渡されるようだった。けれど、純心な彼女から言い渡される罰は、どこか美しい響きを持っているように思えた。

「うん」

 俺は、その罰を粛々と受ける。



 実のところ、敦賀さんが奥さまに会うことに賛同してくれるなんて思わなかった。それが敦賀さんにとってどれだけ酷なことか知っていたから。

 でも、敦賀さんは私の言葉に微笑んで答えた。まるで、十歳の男の子が見せるみたいな無垢な微笑みで。

 金色のウィッグを外した敦賀さんは私の手を引いて歩き、奥様の部屋の扉の前で一度止まった。私は彼の横顔を見上げて、真っ直ぐな眼差しに敦賀さんの覚悟を見る。

 敦賀さんは扉のノブを回した。その時に私の手を強く握りしめたのは、きっと無意識だ。

 部屋に入ると、大きなベッドに奥様が眠っていた。ベッドの傍で私の手を離した敦賀さんは、奥様の顔を覗き込み、「母さん」と声をかける。

 奥様が敦賀さんに会いたがっていることを知っていた私は、奥様が敦賀さんの呼び掛けに答えるまで何時間だって待つつもりでいたけれど、予想に反して、奥様はすぐに反応を示し、ゆっくりと瞼を持ち上げた。

 きっと、ずっと長い間、この時が来るのを奥様は待ちわびていたのだ。庭を見つめている時も、夜の静けさのなかでも。

 奥様はその美しい瞳に愛おしい姿を映して、小さな小さな声で、敦賀さんの名を呼んだ。

「蓮」

 消え入りそうな声でそう敦賀さんを呼んだ奥様は静かに涙を流した。

 その涙から目をそらすことなく、敦賀さんは「母さん、ごめん……」と謝る。

「俺のせいで、クオンが……」

「……そうね」

 奥様は長い眠りの間に弱った腕を力一杯に動かして、敦賀さんに触れようとした。敦賀さんはその奥様の手を両手でそっと包み込むように握る。

「あなたには、クオンも私も心配させられたわ」

 続いた奥様の言葉が意外なものだったのか、敦賀さんは「え?」と聞き返す。

「あなたのことを、私もクオンもずっと探していたのよ」

「……ずっと?」

「ええ。この十年間、ずっと」

「……」

「やっと見つかった……キョーコのお陰で」

 ふいに奥様に見つめられて、私は驚く。

「奥様……私のこと……」

「ちゃんとわかっていたわ。あなたの温かい声が届いていたわ」

「ありがとう」と微笑んだ奥様に私は泣きそうになった。


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