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zoom RSS 新☆LME学園 065

<<   作成日時 : 2013/07/01 15:53   >>

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前回の更新からひと月以上も経ってしまいました(><;
お待たせいたしました!
あまり楽しい回ではないですが、種明かし的回になります(^^)


********



 髪と目の色以外は、顔の作りも、体型も、性格も、とてもよく似ていた。ただ、兄のクオンのほうが俺よりもほんの少しずつ、全てが優れていた。

 人と接する時、俺よりも数秒早く状況を理解し、相手の欲しいものを差し出すことができた。俺にも備わっていたはずの気配りや優しさは、数秒の違いでクオンだけの長所となった。

 勉強も運動も、クオンのほうが数点上で、大人たちの目には優秀な兄と兄を越えられない弟に見えていた。
そんな幼少期を経て、俺の心は荒んでいった。

 ただ、俺にはひとつだけクオンに勝るものがあった。それは、他者を偽ること。それ以上、「兄よりも駄目な弟だ」と言われないように、俺は荒んだ気持ちを隠して、クオンと同じ“いい子”を演じ続けた。

 優秀な兄に勝つことはできないけれど、その兄をひがむことなく、全てに対して地道な努力を惜しまないいい弟を演じ続けたのだ。

 けれど、そんな演技をしたところで、本当の俺の心が変わるわけじゃない。

 ある日、父さんと母さんと豪華客船に乗った俺は、大人たちを心配させたくて、誰にも見つからないところに姿を隠した。

 そこで眠ってしまった俺が目を覚まし、隠れていたところから抜け出すと、想定した以上に船中が大騒ぎになっていた。

 いなくなった子供を一人探すには過剰なほどの騒動に、呆然と大人たちを見つめていると、俺を見つけた船員がすごい勢いで俺の両肩を掴んだ。

「君は、蓮君だな?」という船員の言葉に俺が頷くと、彼は俺のことを空いている客室へと連れていき、そこで待つようにと言ってまたすぐに部屋から出ていった。

 しばらくすると慌てたように父さんが部屋へと入ってきた。そして、「よかった」と言って強く俺を抱きしめた。



「そして、俺に……」

 そこまで淡々と話していた敦賀さんの声が、一瞬止まった。

「父さんは俺に、俺を探していたクオンが足を滑らせて海に落ち……死んだことを聞かせた」

 その真実に、私は呼吸を忘れる。

「父さんの話を聞いても、俺はすぐには信じられなかった。でも、ショックを受けて他の客室で休んでいた母さんの目を見た時、それが真実であることを知った……いや、正確に言うと、真実であると、受け入れる他なくなったんだ」

 震えはじめた敦賀さんの声に、私は上体をひねり、敦賀さんの顔を仰ぎ見た。

「母さんは、目を開けたままベッドに横になっていて、その目には、なにも映っていなかった」

 私は敦賀さんの頬を流れる涙を指で掬い、彼の腕のなかでなんとか身体を反転させると、彼の頭を抱えるように抱きしめた。

「そんな母さんの姿を見ていられなくて、そんな母さんの目に自分が映るのが恐くて、俺はその部屋から逃げ出した」

 敦賀さんの腕がしがみつくように私の身体に巻きついてくる。

「母さんの愛するクオンを奪った。だから、俺は……会えないんだ。クオンが母さんに会えないように、俺は二度と、蓮として母さんに会うことはできない」

 敦賀さんの抱きしめる力は強くて、すこし苦しかったけれど、そんなことが気にならないくらいに胸が痛かった。敦賀さんの悲しみや胸の痛みが伝染したように、私も敦賀さんと一緒に泣いた。



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