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<<   作成日時 : 2013/04/19 22:26   >>

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 敦賀さんの部屋の前で私はどれくらいそうしていたのだろう? ただ涙が溢れ、心が溢れ、寂しさが溢れ、後悔が溢れ、私はそこから動けずにいた。

 そんな私を迎えに来てくれたのは子供のころと同じ、セバスチャンさんで、彼は私の手をそっと握って、キッチンへと連れて来てくれた。

「大丈夫かい? キョーコちゃん」

 おばさんが私の前にミントティーを置いてくれる。爽やかな香りが私の心を癒すように浸透する。

「すこしは落ち着いたのか?」

「……はい」

 おじさんのどっしりと落ち着いた声に、私は頷いた。

 セバスチャンさんは心配したような眼差しで私を見守っている。

「すみませんでした」

「謝る必要はありませんよ」

「あの、奥様は……」

「お部屋でお休みになっています。久しぶりにお声を出されて、すこしお疲れになったのでしょう」

「そうですか……」

「奥様は蓮坊ちゃんの名前を呼ばれたんだろう? クオン坊ちゃんじゃなくて」

 おばさんの言葉に私は「はい」と返事を返した。

「そう……」

「それで、お前はその理由を知ってるのか?」

「え?」

「奥様が蓮坊ちゃんの名前を呼んだ理由を知ってるのか?」

「いいえ……」

 おじさんの言葉に私は首を横に振った。

「知りたくはないのか?」というおじさんの言葉に私は迷った。

「私がお聞きしていいことでは……」

「どうしてだ?」と、こともなげに聞き返される。

「お前には知る権利があるのに?」

「………」

 そんな権利が、本当に私にあるのだろうか?

「自信がないなら聞いてみろ。ご主人様は、きっとお前が自分から聞きに来ることを待っているぞ」

 セバスチャンさんを見ると、彼はゆっくりと頷いた。けれど、しばらく考えた私は再び首を横に振った。

「おじ様には聞けません」

「どうしてだい?」

 おばさんの当然の疑問に、私はカップに視線を落として答えた。

「……敦賀さんのことをわかりたいから」

 敦賀さんのことをわかりたいからおじ様に話を聞かない……なぜ、そんなふうに思ったのか、それは私にもわからなかった。

 けれど、そんな私の言葉におじさんは「そうか」と深く頷いた。まるで私の決断を認めるように。

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