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<<   作成日時 : 2013/01/12 18:51   >>

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「……王子様……」

 私の声に、彼は慌てて振り返る。そして、その瞳を大きく見開いた。

「………君は」

 驚かせてしまったことを謝った私は、それでもやっぱり彼が驚く勢いで説明をした。

「私、最上キョーコと言います。あの……昔、養護施設に来られたことはありませんか? ハロウィンパーティーがあった日に。私、その日、すごく綺麗な王子様に会ったんです。彼は美しい金色の髪をして、深いブルーの瞳で……まるで、いまのあなたのように、月の光に包まれていたんです。あの、もしかして、あなたは……」

 早口でそこまで言った私の言葉は、短いたった一言で遮られた。

「違うよ」

「……そうですか」

 彼に逃げるように視線を逸らされ、私も視線を落とした。

「……奥様との大切なお時間を邪魔してしまってごめんなさい」

 深く頭を下げ、私は踵を返した。けれど、次の瞬間、「待って」と声をかけられた。

「……?」

 振り向くと、クオンさんは口元を押さえてすこし視線を泳がせた。

「えっと……紅茶、淹れてくれない? 君、メイドだよね?」



 カップに香り高いハーブティーを注ぎ、クオンさんへお渡しすると、彼はその色と香りにすぐに気がついた。

「紅茶じゃない?」

「はい」と、私は頷いた。

「紅茶にはカフェインが入っていますので、こんなお時間に飲んでは、眠れなくなるといけませんから、カモミールにしました。お嫌いでしたか?」

 クオンさんはカモミールティーを一口飲み、「美味しい」と口元を緩めた。彼は私に視線を向け、お礼を言ってくれる。

「ありがとう」

 その優しい眼差しに、敦賀さんの姿が重なる。

「……本当に、似ていらっしゃるんですね」

 双子なのだから、当たり前なのかもしれないけれど。

「え?」と、聞き返した彼に私は首を横に振る。

「いえ、なんでもありません」

 おじ様が二人は仲が悪いと言っていたことを思い出した。

「それでは、私はこれで」

「君も、飲んで行ったら?」

 意外な申し出に、私はすこし戸惑う。

「……よろしいんですか?」

「その方が、きっと母さんも喜ぶ」

 そう言って奥様を見つめるクオンさんの眼差しはやっぱり悲しげで、私はその眼差しのわけを知りたくなった。



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