白黒王国国政創造推進課特別室

アクセスカウンタ

zoom RSS 新☆LME学園 035

<<   作成日時 : 2012/02/13 20:00   >>

面白い ブログ気持玉 6 / トラックバック 0 / コメント 0




 おじ様のお城に来てから二週間が経とうとしていた。私は任された業務にも、そして、“お城のなかの歩き方”にも慣れてきていた。

 “お城のなかの歩き方”とは……廊下でうっかり会長と出会いそうになるのをなんとか避け、逆に、クオンさんを見かけた際には、彼に気付かれないように物陰に隠れてその動向を探ることである。

 その結果、セバスチャンさんの言うとおり、会長はメイドさんたちなど、このお城で働く人々にその人当たりの良さから慕われ、逆に、クオンさんはふらりと廊下の隅を通っても誰もが見て見ぬふりをして避けていく存在であることがわかった。

 そして、その二人のご子息がおじ様と食事を一緒にすることは二週間のなかで一度たりともなかった。



「どうだ? ここでの生活にはすっかり慣れたか?」

 和食が並ぶ朝食の席でおじ様にそう聞かれた私は「はい」と返事を返した。

「朝は野菜の収穫も手伝っているそうだな」

「シェフに許可をいただいたんです。私の業務がはじまる前の早朝になら収穫を手伝ってもいいと」

「そうか……楽しいか?」

「すごく楽しいですよ」と微笑むと、おじ様は再び「そうか」と頷いた。


 それから、すこし間をあけて「ところで」と話を変える。

「蓮にはもう会ったのだろう?」

 私はギクリッと、おしんこに伸ばした箸を持つ手を止めた。

「メイドたちが言っていた。あいつが随分とキョーコのことを気にしていたと」

「まさか、バレて……」と恐れる私に、「まだバレてはいないようだ」とおじ様は教えてくれる。

「メイドたちにも、蓮からなにか聞かれても詳しいことは知らないと答えるように言っておいたからな」

「そうだったんですか?」

 おじ様の“びっくり作戦”はどうしたのだろう? と思ったけれど、それは諦めてはいないようだ。

「ああ。すぐにバレてしまっては、驚きも半減するだろう?」

 むしろ、私が思っていたよりも、おじ様は本気だ。

「……おじ様は、本当に会長をびっくりさせたいんですね」

「ああ! あいつの驚く顔を見たい!」

「あの、でも……私、そのご期待に添えないかと思うのですが……」

「どうしてだ?」

「会長は私がこんな格好で会長を欺いていたことを知ったら、びっくりするどころか、怒ると思います」

「怒る?」と、おじ様はセバスチャンさんの時同様、意外な話を聞いたような顔をする。しかし、その後の反応はセバスチャンさんとは違っていた。


「……そう言われてみれば、そうかもしれないな」


 そうあっさりと納得し、うんうんと数回頷いている。

「それなら、さっさと種明かしをするか。ちょっと蓮のヤツを呼んで…」

 そんな恐ろしいことを言いだすおじ様に私は慌てた。

「ダメです!! いま種明かししても絶対に怒られます!!」

 それもおじ様ではなく、絶対に私がものすごく怒られます!!

「私、このまま正体を隠し続けますから!! だから、おじ様も私のことは秘密にしててください!!」

「……あと三週間ほどもあるんだぞ? ひとつ屋根の下にいて、そんなことができるのか?」

「できます!!」

 私は力強く断言した。

 ひとつ屋根の下なんてよく使われる言葉を使っているけれど、この広いお城のなかにその言葉は適用されない。

「このお城の広さをうまく使えば、あと三週間、会長に一度も会わずに夏休みを乗り越えることはそう難しいことじゃないと思いますから!!!」

 メイドさんや他の使用人の方からも私の正体がバレる心配がないのならなおのこと大丈夫だと、私は自信を得て胸を張り、そうおじ様に宣言した。







********


もはや、クー・ヒズリの楽しみなどどうでもいい。

キョコさんにとってはバレないことこそが大事なミッションになっている。



テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 6
面白い 面白い 面白い 面白い
ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
新☆LME学園 035 白黒王国国政創造推進課特別室/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる