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zoom RSS 新☆LME学園 019

<<   作成日時 : 2012/01/28 14:25   >>

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―― 最上さん、ありがとう



 窓から見える空は青空。薄い雲がいくつか浮いていて、その白い色を時々鳥の影が通り過ぎる。

 私の視覚は確かに日常の空の一コマを捉えているのに、私の聴覚は同じ音を繰り返している。


「どうしたの? キョーコ?」

『最上さん、ありがとう』 そう再び聞こえてきた音を遮って、馴染みのある声が聞こえた。

「あんたがぼーっとしてるなんて珍しいわね」

 声のする方へ視線を向けると、モー子さんが私の前の席に座ってこちらをじっと見つめていた。

「ちょっと、お昼にびっくりすることがあって……」

「びっくりすること? なにそれ?」

「会長に名前呼ばれたの」

「『キョーコ』って?」

 モー子さんの言葉に私は驚いて「まさか!!」と首を思いっきり横に振った。

「『最上さん』って呼ばれたの」

「そんなの、別に驚くほどのことじゃないと思うけど」

「でも、いままで一度も名前を呼ばれたことなかったのよ?」

「任命式の時は呼ばれたじゃない」

「あれは儀礼的なものだもの」

 会長が自分の意志で呼んだのとは違う。私の名前だと認識して呼んだというよりは、紙に書いてあった文字を読み上げたにすぎない。

「まぁ、そうだけど……会長があんたの名前呼ぶのって、そんなに驚くことなの?」

「うん」と私は深く頷く。

「理由はわからないけど、私、会長にすっごく嫌われてたから、永遠に『君』としか呼ばれないと思ってた」

「まぁ、ドS会長だから、その可能性もあったかもしれないけど……」

 そこまで言って、モー子さんは私をちらりと横目で見た。

「私には、あんたは嫌われているどころか、好かれているように見えてたけど?」

 私は思わず心境をバカ正直に顔に表してしまう。眉間に皺を寄せて険しい顔をした私の表情を見て、モー子さんの表情もつられて険しくなる。

「……あんた、すごい顔してるわよ」

「だって……ないわよ! それは絶対にないわ!!」

「……そんな全力否定するほど?」

「うん! 絶対にない!!!」

 私が会長に好かれているなんてことは絶対にないという自信があったから、私は全力で首を縦に振った。


 会長は絶対に私を嫌っている。それは確かなことなのに……私自身は以前ほど会長のことが嫌いではない。



 会長は私にお礼を言った後、『それから』と言葉を続けた。

『この前はなにも知らないのに君のご両親のことを言って悪かった』

『え?』

『ずっと謝ろうと思っていたんだけど』

 確かに、委員長集会や部長集会が終わるたびに会長が私に声をかけてくれていた。けれど、他の人々が周りにいたから、きっと話を切り出せなかったのだろう。

『なかなかタイミングが掴めなくて……ごめん』

『……いえ』

 いつもとは違い、穏やかな眼差しで謝れ、私はいつもとは違う意味で落ち着かなくなり、会長の視線から逃げて首を横に振った。

 いつも意地悪なのに、自分のあやまちを素直に認めて謝ってしまうその姿勢が、大人に思えて……意固地になってしまう私とは違い、あまりにも大人に思えて。


 恥ずかしくなった。







********


以下、モー子さんの心のなかの呟きです。




驚いたわ。

鈍いとは思っていたけど、まさかここまで鈍いなんて……この子、一体、あのキョーコ限定ドS会長のなにを見てたのかしら!?

 あの会長、確実にキョーコのことを意識してるのに!!!

 いままでどんな美女が言い寄っても反応しなかった人が、キョーコにだけは違う反応を見せてるって貴島さんも驚いていた。

 それなのに、この子の鈍感さ……

 あの会長はこの鈍い子相手にどう動くのかしら?



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