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zoom RSS 新☆LME学園 011

<<   作成日時 : 2012/01/20 14:21   >>

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「やばいな」と思わず零れた声を俺は聞き逃さなかった。


 彼女を生徒会長にするために策を練っていたことは知っていたけれど、まさか、本当に社さんが彼女のことを好きだったとは思わなかった。

 もちろん、社さんが誰を好きになろうが俺にはなんの関係もない。しかし、私情で彼女を高等部の新しい生徒会長に推薦したのならそれは褒められた行為ではない。



 学園のほぼ全生徒が集まる体育館(大学生、院生の参加は強制ではないが、大抵の生徒は集まっている)の壇上で、俺は横に控える彼女へと視線を向ける。


「最上キョーコ」


 名前を呼べば、「はい」とよく通る声が体育館に響いた。

「高等部生徒会、会長に任命する」

 俺の目の前に立った彼女に、生徒会役員の証となるバッジを渡す。彼女は指示された通りに両手で恭しくバッジを受け取り、頭を下げて元の自分の立ち位置へと戻っていった。他の役員へのバッジは後ほどSB専用の会議室で渡すこととなる。

 中等部の生徒会長にも中等部用の生徒会役員のバッジを渡すと、今日の朝礼の俺の仕事はほとんど終わったと言ってもいいだろう。あとは貴島くんに任せて早々にこの場から退散しようと計算していた俺は、司会をしている石橋くんの「それでは、続きましては」というお決まりのセリフを待った。しかし、俺からバッジを受け取った中等部の新生徒会長が元の位置に戻っても、そのセリフが体育館のなかに響くことはなかった。

 その代わりに、重厚な拍手の音が響き渡る。

 拍手の聞こえる方向へと視線を向けると、体育館の一番奥に、よく見知った男が立っていた。彼に気付いた先生方はわたわたと慌てふためくが、慌てふためくだけでなにかできるわけではない。ただ、優雅に壇上へと近づいてくる彼をその場にいた全ての人がじっと見つめるだけだった。


「SBの諸君、御苦労」


 彼は俺たちを見回してそう言うと、すぐに視線を中等部と高等部の新生徒会役員に向けた。

「二人とも、生徒会長就任おめでとう。これから、頑張ってくれたまえ」

 学園長は中等部の新生徒会長の頭をグリグリと撫で、それからぽかんっと呆けている彼女へと視線を移す。憧れの“おじ様”に見つめられた彼女はその頬を染めて、緊張したようにすこし首を後ろに引いた。おそらく、自らの頭の上にも学園長の大きいな手が差し伸べられるものと思い、身構えたのだろう。


 しかし、そんな彼女の予想を裏切って……いや、その場の全ての人々の予想を裏切って、学園長は彼女の額に音を立ててキスをした。

 ざわりっと体育館中が動揺するなかで、一番動揺していたのはおそらく俺だ。

 思わず学園長の肩を掴み、彼女から引き離す。そして、思いっきり叱責してしまう。

「なにをやっているんですか!? あなたは!」

「ん? 再会の挨拶のつもりだったんだが」

「挨拶って……」

「ここは日本ですよ!」とさらに彼を怒ろうとしたその時、「コホンッ」と社さんが大きくわざとらしい咳をした。

 俺は全校生徒の前……しかも、壇上の上だったことを思い出し、目が点になっている生徒たちに向かってにこりと作り笑いを浮かべた。

「久しぶりに学園長がいらっしゃってくださったことだし、十分ほど学園長にお話しを伺おうと思います。それじゃ、よろしくお願いします。学園長」



 俺はとりあえず学園長に全てを押しつけて、目を点にしたままの中等部高等部の新生徒会役員たちを壇上の袖へと誘導した。

「君たちはもう教室に戻ってもいいよ。放課後にSBの会議室に来てくれるかな? 改めて顔合わせと今後のスケジュールなどについて話し合おう」

 突然の学園長の登場に動揺してはいるものの役員たちは「はい」と返事をして、それぞれの教室へと向かって歩き出した。


 当然、彼女も友達である副会長とともに歩きだしたのだが、俺は彼女の手首を捕まえて引き止めた。






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